腰椎の構造と作用
5個の椎骨から構成されます(L1~L5と言う専門用語を使う場合があります)
椎骨と椎骨の間には椎間板というクッションの役割を持つ軟骨が上下の椎骨同士を連結します。また椎骨同士は後方で椎間関節を形成することで関節としても連結されています。又脊椎(頚椎,胸椎,腰椎)の連結によって脊柱管という管が形成され,その中に脊髄が下行しますが,脊椎の連結の仕方は脊髄から分枝した骨盤や臀部、左右の上肢に行く神経の出口が圧迫されないような構造にもなっています。椎骨の連結によって前屈、後屈、側屈、廻旋など一定範囲での可動性が発揮されますが、これらの動作が正常な可動範囲を超えると排尿機能不全や両下肢麻痺など生命の危険や重度の後遺症を残す恐れがあることや又種々の日常生活動作において常に機械的な負荷が加わる為,安定した強固な支持性が最も要求される部位であり可動範囲を制御する強靭な多くの靭帯や強靭な大きな筋肉が連結部をしっかりとサポートしています。例えば力学的負荷にさらされる椎間板は軽いおじぎ動作で体重の2.5倍もの負担がかかります。
昔は腰首と言った?
首(頚)の語源は「くびれ」から来ています。人体で直接生命にも関わる重要な部位は「くびれ」ています。首、手首、足首、腰、大腿骨頚部、上腕骨頚部、橈骨頚部などです。生命にも関わる動脈や神経が外力に遭遇し損傷しないようにくびれています。
「首」の総頚動脈は両肩の出っ張りによって外力から守られていますし「手首」の橈骨動脈は親指側の茎状突起と小指側の茎状突起によって守られ、「足首」の脛骨動脈は内果(うちくるぶし)、外果(そとくるぶし)によって守られています。腰,腹部は左右の大きな骨盤の出っ張りである腸骨で守られています。
これらの重要な部位が、不幸にして外力に遭遇し骨折や脱臼、捻挫、打撲などを受傷した場合,非常に治りが悪く一生後遺症に悩まされ続けている人は沢山います。
あらゆる頚部疾患(腰首)に対する治療は非常に専門的な知識や熟練した技術が必要であり,しっかりとした医療機関を選択する必要があります。
専門的な知識や技術が必要な例として
頚部に痛みが発生した場合,どのような原因であれ先ず行なわなければならない事は「検温」です。これは内科的な疾患から発生した全身的な熱なのかどうかを鑑別しなければならない重要な診察の一つです。検温の結果、限りなく37℃に近ければ内科的疾患の疑いを念頭に置き診察をすすめます。その結果専門医を受診すべきと判断した場合は早急に専門医に託します。また外力(交通事故、鞭打ち、打撲、捻挫など)や年齢的老化、使い過ぎ、運動不足、先天性異常など色々な原因により腰椎を構成する椎体や椎間軟骨、神経、靭帯、筋肉などが損傷されると両下肢,骨盤,臀部などへの痛みや痺れ、時によって麻痺などが現れる場合があります。また腰部の痛みや痺れは種々の身体的ストレスや運動不足、疲労などによって慢性的な経過をたどりやすく非常に日常生活動作の影響を受けるところであり,特に働き盛りの男性は立仕事や座り仕事、肉体労働等何事につけても自信喪失になり易い部位です。種々の腰部疾患に対し冷やすのか温めるのか、全身の安静が必要なのか動いてもいいのか、固定が必要なのか必要でないのか、牽引してもいいのか牽引してはいけないのか、刺激をしてもいいのか刺激を加えてはいけないのか等、処置、処方を間違えてしまうと症状が悪化するどころか生命にも影響するほどのとんでもない事態になりかねません。
腰椎疾患は常に総合的に熟練した診察,治療が必要なのです。
代表的頚椎疾患
腰椎骨折:
交通事故や落下、衝突など強力な外傷により発生する。L1~L5のどの部位でも発生し、時には脊髄損傷を合併する。
腰椎椎間板ヘルニア:
20~50歳代の男性に多くL4―L5椎間板、L5-S(仙骨)に好発。椎間板組織が神経根を圧迫し腰や下肢に電撃様痛みを引き起こす。加齢的な椎間板変性や外傷性(追突事故:鞭打ち症)、スポーツなどで発生。左右いずれかの下肢に疼痛、しびれ、運動障害を訴える場合がある。
腰椎症、腰部脊椎症:
中年以降に多くL3~L5に好発。
加齢的変性や外傷性(追突事故:鞭打ち症)などで発生。
椎体周辺に骨棘(とげ状態の突起)を生じる。
腰部捻挫(ぎっくり腰、魔女の一撃)
急激不意な動作特に捻り、持ち上げ、振り向き動作や長時間の不安定姿勢、寒冷、せき、くしゃみ疲労の蓄積等での腰部の強痛と運動制限特に廻旋、側屈制限が著明。側弯形成。
鞭打ち損傷:
追突事故や転倒などで腰椎に急激な伸展、屈曲力、廻旋、側屈が加わった場合。腰部捻挫症状や神経症状、自律神経症状、脊髄症状などが発生。
後縦靭帯骨化症:
後縦靭帯が肥厚、骨化し脊髄を圧迫する難治性疾患。
腰部痛や可動制限症状と共に進行すると脊髄圧迫による下肢の歩行障害。
脊柱側弯症:
脊柱が側方(左右)に弯曲した状態。
疼痛性側弯(腰椎椎間板ヘルニアなどで強痛が生ずると反射的、防御的に筋収縮が生じて痛みを回避する姿勢)
突発性側弯:
日常臨床で最もよく見られる側弯。10歳以上の思春期に発症する思春期性側弯が最も多い。
入浴時などに親が背部を注意深く観察する必要がある。
脊椎分離症:
腰椎の強い伸展・屈曲、廻旋等による荷重が関節突起間部に繰り返し加わって生じるストレス骨折と考えられるようになっているが先天性(遺伝性)の場合もある。
多くはL5、L4に多発し腰椎全体の安定性が減弱すると共に頚椎部にも影響し特に項部の重苦しさや頭重感症状を合併するものもある。
脊椎すべり症:
原因は様々あるが多くは脊椎分離症などの程度が進行し椎体の安定性が失われ元の位置から前方にずれた状態があたかもすべった状態のように見えることからすべり症という。
腰痛と下肢の痛み特に弁慶の泣き所といわれる下腿前面部や大腿後側の痛みを訴える。
腰部脊柱管狭窄症:
先天性や後天性(変形性脊椎症、分離症、すべり症など)の原因により腰椎の脊柱管が狭くなり管の中にある馬尾神経や神経根が絞扼され痛みや痺れなどの神経症状が生じた状態。間欠性跛行(休みながら出ないと歩けない症状)が特徴である。


