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頚部損傷

頚椎の構造と作用

7個の椎骨から構成されます(C1~C7と言う専門用語を使う場合があります)
椎骨と椎骨の間には椎間板というクッションの役割を持つ軟骨が上下の椎骨同士を連結します。また椎骨同士は後方で椎間関節を形成することで関節としても連結されています。脊椎(頚椎,胸椎,腰椎)の連結によって脊柱管という管が形成され,その中に脊髄が下行しますが,脊椎の連結の仕方は椎間板によって脊髄から分枝した顔や首、横隔膜あるいは左右の上肢に行く神経の出口が圧迫されないような構造にもなっています。椎骨の連結によって前屈、後屈、側屈、廻旋など一定範囲での可動性が発揮されますが、これらの動作が正常な可動範囲を超えると生命の危険や重度の後遺症を残す恐れがある為、可動範囲を制御する強靭な多くの靭帯(タガの役目)が連結部をしっかりとサポートしています。又頚椎は重い頭部(体重の約1/10の重さ:体重50kg.であれば約5kg)を支えるという役目が有る為,多くの強靭な筋肉が連結部の周りを補強し作用すると共に首の運動(屈伸、廻旋など)の他,咀嚼や嚥下を助けたり、呼吸特に胸式呼吸を助ける役目もあります。


なぜ頚(首)というか? (語源)

首(頚)の語源は「くびれ」から来ています。人体で直接生命にも関わる重要な部分は「くびれ」ています。首、手首、足首、腰,大腿骨頚部、上腕骨頚部、橈骨頚部などです。生命にも関わる動脈や神経が外力に遭遇し損傷しないようにくびれています。例えば「首」の総頚動脈は両肩の出っ張りによって外力から守られていますし,「手首」の橈骨動脈は親指側の茎状突起と小指側の茎状突起によって守られ、「足首」の脛骨動脈は内果(うちくるぶし)、外果(そとくるぶし)によって守られています。
これらの重要な部位が不幸にして外力に遭遇し骨折や脱臼、捻挫、打撲などを受傷した場合,非常に治りが悪く一生後遺症に悩まされ続けている人は沢山います。
あらゆる頚部疾患に対する治療は非常に専門的な知識や熟練した技術が必要であり,しっかりとした医療機関を選択する必要があります。


専門的な知識や技術が必要な例として

頚部に痛みが発生した場合,どのような原因であれ先ず行なわなければならない事は「検温」です。これは内科的な疾患から発生した全身的な熱なのかどうかを鑑別しなければならない重要な診察の一つです。検温の結果、限りなく37℃に近ければ内科的疾患の疑いを念頭に置き診察をすすめます。その結果専門医を受診すべきと判断した場合は早急に専門医に託します。また外力(交通事故、鞭打ち、打撲、捻挫など)や年齢的老化、使い過ぎ、運動不足、先天性異常など色々な原因により頚椎を構成する椎体や椎間軟骨、神経、靭帯、筋肉などが損傷されると頭部、顔面部(眼、鼻、耳など)頚部、肩背部、手などへの痛みや痺れ、時によって麻痺などが現れる場合があります。さらに頚部は非常に自律神経の影響を受けるところであり種々のストレスによって不眠や疲労が募ると自律神経失調症(血圧異常、食欲減退、いらいら、冷え感、のぼせ、不安感、消化器症状、循環器症状など)の引き金となる場合があります。種々の頚部疾患に対し冷やすのか温めるのか、全身の安静が必要なのか動いてもいいのか、固定が必要なのか必要でないのか、牽引してもいいのか牽引してはいけないのか、刺激をしてもいいのか刺激を加えてはいけないのか等、処置、処方を間違えてしまうと症状が悪化するどころか生命にも影響するほどのとんでもない事態になりかねません。
頚椎疾患は常に総合的に熟練した診察,治療が必要なのです。


代表的頚椎疾患

頚椎骨折:

交通事故や落下、衝突など強力な外傷により発生。C4~C6での脱臼骨折の発生が多く時に脊髄損傷を合併する。

頚椎椎間板ヘルニア:

加齢的変性や外傷性(追突事故:鞭打ち症)などで発生。
30~50歳代の男性に多くC5~C7に好発。
左右いずれかの上肢に疼痛、しびれ、運動障害を訴える。

頚椎症、頚部脊椎症:

加齢的変性や外傷性(追突事故:鞭打ち症)などで発生。
中年以降に多くC5~C7に好発。
椎体周辺に骨棘(とげ様の突起)を生じる。


リウマチ性脊椎炎:

慢性関節リウマチの脊椎に波及したもので,すべての頚椎に発生し進行性、破壊性で椎間が不安定性になる。
頚の強痛と運動制限を呈し関節の軋轢音症状(ギシギシ音)。

頚部捻挫:

急激な振り向き動作や長時間の不安定姿勢、寒冷、疲労の蓄積等。
(寝違え) 頚部の強痛と運動制限特に廻旋、側屈制限。

鞭打ち損傷:

追突事故や転倒などで頚椎に急激な伸展、屈曲力が加わった場合。
頚部捻挫症状や神経症状、自律神経症状、脊髄症状などが発生。

後縦靭帯骨化症:

後縦靭帯が肥厚、骨化し脊髄を圧迫する難治性疾患。
頚部痛や可動制限、肩こり症状と共に進行すると脊髄圧迫による下肢の歩行障害。


胸郭出口症候群:

頚の動作筋肉や鎖骨、肩甲骨、肋骨などにより腕神経叢や鎖骨下動静脈が圧迫される。
腕、指などのしびれ、脱力感、頚背部の違和感、肩こり症状など。


先天性斜頚:

乳児に発生する筋性斜頚(胸鎖乳突筋内腫瘤)が最も多く先天性股関節脱臼、内反足と並び整形外科の3奇形の一つであります。
成人しても左右のどちらかが向きにくいという後遺症として残る事があり側湾の形成や頚椎の変形症状が早期の年齢で発生する原因にもなる。



後天性斜頚:

心因性(ストレス)や中枢神経障害など神経が原因でなる斜頚で後頚部筋の異常な筋痙攣性収縮を示し左右の一方に顔面が向いた状態となる。



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