膝関節は大腿骨,脛骨,膝蓋骨(お皿)の3つの骨から構成される人体で最も大きな関節であり又人体最大の滑膜関節(滑りのいい滑らかな関節:滑走現象といいます)です。大腿骨と脛骨で大腿脛骨関節,大腿骨と膝蓋骨で膝蓋大腿関節の2つの関節を構成し,屈曲・伸展・内反・外反・内旋・外旋・前方滑り・後方滑りと非常に複雑な構造と機能を有する為,診断が容易でありません。これらの複雑な運動機能や支持力を円滑に行う為に軟骨や靭帯,関節包,筋肉などが関節を取り巻きそれぞれの特徴をフルに生かした働きをしています。近年膝関節の異常を訴えて来院する患者さんが極めて多くなって居りますが,これは膝関節が外傷を受け易い部位である事や荷重関節でありながら非常に不安定性であることなどに起因すると同時に加齢的にも変形性に陥り易い特徴があるからです。特に女性の膝関節症は膝関節そのものに形態的な特徴があるため疼痛を訴えて来院する人が多くなっています。
膝に水が溜まるってどういう事?
外傷や疾患で関節特に膝関節において炎症が生じた場合は関節内に熱が溜まり膨張現象が発生するため,熱を鎮めようと関節内では滑液という関節液を普段より多く分泌し,みずから冷却作用をします。普段は分泌と吸収のバランスがうまく作用しているのですが急に炎症が発生しますと多くの関節液が分泌される結果,分泌と吸収のバランスが悪くなり溜まってしまいます。大量に溜まってしまった場合は整形外科では注射器により抜水処置が行なわれ症状も楽になるのですが,またすぐに溜まってしまう場合があります。それは関節内の炎症症状が治まっていないからであり抜水そのものは根本治療ではないからです。根本治療は外部からもしっかりと関節を冷却して,安静を守り一時も早く炎症を鎮めることにあります。
変形性膝関節症
年代的には中年以降の年齢層で女性や肥満傾向の人に多くみられ,退行性変性(加齢的要素)に基づくものや膝関節の外傷後(捻挫,打撲,骨折,脱臼など)に後遺症的に出現するものもある。
関節軟骨の磨耗や大腿骨内側顆の骨棘形成(変形突起:とげ),関節可動域の制限,筋力低下,靭帯変性などの関節構成体が変性を来たし歩行や移動など日常生活に不自由や困難をきたす。個々により様々な原因があるため専門的に精査し細部に渡る治療や指導が必要とされる。
オスグッド・シュラッター氏病(脛骨粗面部成長期病)
12~13歳前後の成長期の男児に多く発症する大腿四頭筋の過度使用による脛骨粗面部(大腿四頭筋付着部)の急性炎症。サッカー,陸上競技,バレーボールなど大腿四頭筋を良く使うスポーツをする成長期の子供に多い。
半月板損傷,内・外側側副靭帯損傷,前・後十字靭帯損傷
膝関節の捻挫や強度の打撲などの外傷により膝関節を取り巻く様々な靭帯が損傷される。損傷される靭帯により特徴的な症状が出現するが整形外科的徒手検査法により,どの靭帯が損傷されているか鑑別ができます。
半月板損傷の第一の特徴は膝関節の伸展制限です。膝関節は曲がるのですが真っ直ぐに伸ばそうとしても痛くて伸びきれません。また膝関節を外側や内側に捻るとお皿の前下方に強い痛みが発生します。内・外側側副靭帯損傷の第一特徴は膝関節を外側や内側に体重移動させた時や向きを変えようとした時に強い痛みが発生します。
又屈伸運動が痛みのために思うようにいきません。前・後十字靭帯損傷の第一特徴は膝関節が歩行時特に階段の昇降時に非常に不安定な感覚がします。また曲げ伸ばし時に痛みが発生します。各靭帯は損傷の程度(軽度・中度・重度)により様々な症状が出現しますが早期の治療により症状の回復が得られるが慢性的な経過をたどると歩行困難,強痛特に夜間痛などが著明となります。
膝窩嚢腫(ベーカー嚢腫)
50歳代以上の女性に多く見られ,変形性膝関節症や膝関節リウマチに合併して起こることが多い。膝の後ろの中央付近に鶏卵大の硬いしこりが触れます。
滑液包に炎症が発生し腫大したものと考えられている。


